本研究班事業について
ゲノム医療の推進のために、適切なゲノム情報の取扱い、患者サポート体制の強化、国民のみなさまに対するゲノム・遺伝子に関する知識の普及啓発や教育の充実等といった倫理的法的社会的課題(ELSI)を市民倫理社会科学専門家・法律家を含めた検討、ブラッシュアップすることで、他の倫理的課題を含めた基盤整備を行うために研究活動を行なっております。
その中でも、双方向遺伝リタラシーの向上を目指し、様々なコンテンツの紹介を通じてゲノム医療や遺伝医療に関わるまだ国民に馴染みのない言葉、用語についても解説し「国民が安心してゲノム医療を受けるため」の環境整備を進めてまいります。
研究代表者
小杉眞司
京都大学医学研究科 医療倫理学・遺伝医療学 教授
京都大学医学部附属病院 遺伝子診療部・倫理支援部部長
「国民が安心してゲノム医療を受けるための社会実現に向けた倫理社会的課題抽出と社会環境整備」という長ったらしい課題名の研究班を作りました。一人一人のゲノム情報を活用した「ゲノム医療」が進んできています。2015年に当時のオバマ大統領が提唱したPrecision Medicineです。これまでの医療と異なり、一人一人異なる遺伝情報に最適化させたきめ細かい診療を目指しています。専門的な内容も多いため理解が難しかったり、遺伝情報を扱うことに不安を感じる人もいます。ゲノム医療の様々な課題について、専門家だけで検討するのではなく、一般市民、患者さん、認定遺伝カウンセラー、医師などがフラットな立場で情報交換をし、様々な立場や考え方を共有すること、ゲノム情報だけではない多様性の尊重が重要と考えています。それにより、安心してゲノム医療が進められる社会を目指したいと思います。
研究分担者
渡邉 淳
金沢大学附属病院
遺伝診療部/遺伝医療支援センター
誰もが持っているゲノムや遺伝子の情報を病気の診断や治療に活
太宰牧子
一般社団法人ゲノム医療当事者団体連合会
特定非営利活動法人クラヴィスアルクス
ごく普通の人間で、ごく普通のがん患者で、ごく普通のBRCA1病的バリアントを持っています。患者として市民として超レアな研究者として日々「難しい用語」を連発する先生方に「わからないですよ」と叫び続けております。わからないをわかることばに置き換えたり、解説をつけたり、患者や市民の皆様へ伝わるゲノム医療と遺伝医学を目指しております。一緒に楽しく学びましょう。
竹之内 沙弥香
京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻
基礎看護学講座
看護倫理学は、よりよい看護とは何か、よりよい患者-医療従事者関係における看護師の役割とは何かを考える学問です。日々新たに現れる看護倫理の課題について、論点を整理し、議論の枠組みを作り、検討を重ねる作業をします。また、病と共に生きる人が安心して充実した日々を送るための支援について、特に医療者による意思決定支援に焦点を当て、より良いアプローチ方法に関する研究や教育活動をしています。一人でも多くの方に倫理に関心を持ってもらい、一緒に考えていきたいと思います。
研究協力者
和田敬仁(京都大学医療倫理学・遺伝医療学)
鳥嶋雅子(京都大学遺伝子診療部)
佐藤智佳(関西医科大学 臨床病理学講座)
秋山奈々(千葉県こども病院 遺伝診療センター)
浦川優作(岡山大学 臨床遺伝子診療科)
松浦香里(国立がん研究センター東病院)
十川麗美(岡山大学 臨床遺伝子診療科)
宇都笑李(京都大学遺伝医療学)
酒井恵利(京都大学遺伝医療学)